「カバサールと不妊」
カバサールとは?
カバサールは脳に働きかけて神経活動を活性化する作用があるので、パーキンソン病の治療薬として使われます。
カバサールには、このドパミン刺激作用の他に、プロラクチン分泌抑制作用があり不妊治療に使われています。不妊の原因はいろいろあります。中でも女性の不妊を招くものの一つに、高プロラクチン血症があります。
プロラクチンはホルモンの一種で通常は妊娠後期から出産、授乳期に多く分泌され、乳汁の分泌を促します。それと同時に排卵を抑制します。
なんらかの原因でホルモンバランスが崩れたり、低用量ピルや睡眠薬などの薬物を長期摂取していたりすると、プロラクチンが過剰に分泌されてしまうことがあります。
ストレスがその一要因だとも言われています。婦人科においては、ストレスの少ない生活を心がけるよう指導すると共に、薬の助けを借りて不妊を治療する流れが一般的です。
このプロラクチンの分泌を抑え排卵を起こすようにするのがカバサールという薬です。従来パーロデルなどが処方されていましたが副作用の多い薬でした。
カバサールは効果の出方が比較的緩やかで、服用も1週間に1錠と使いやすい薬ですので、近年不妊治療において処方されることが増えてきたのです。
カバサール服用で不妊になるの?
カバサールの服用が不妊の原因となることはまずありません。ただ、カバサールはホルモンに働きかける薬なので用法をしっかり守り、体に異変を感じたら直ちに受診しなければなりません。
不妊の原因となるのはむしろカバサール服用が効果を示す高プロラクチン血症です。
高プロラクチン血症は自覚症状がないため、月経異常や不妊などで婦人科を受診した際に検査で発見されることがほとんどです。プロラクチンというホルモンが過剰分泌されると体が妊娠していると勘違いして排卵を止めてしまうことがあります。
妊娠を望む場合には、このプロラクチンの数値を下げる必要があります。いくつかチェックポイントがあります。まず、常用している薬です。ピルや睡眠薬、降圧剤などはホルモンバランスを崩させやすいと言われています。
やむを得ない場合を除きこれらの薬を中止するか減量します。また、ストレスもホルモンバランスに悪影響を与えますのでプロラクチン分泌の異常の原因となります。
これらの点を見直してなお、プロラクチン値が下がらない場合にカバサールが使われるのです。カバサールの副作用はいくつか報告されていますが、服用が原因で不妊になったというケースは無いようです。
カバサールの副作用は?
カバサールはホルモンに働きかける薬です。ホルモンは全身の調子をつかさどる自律神経と密接に関係していますので、カバサールの服用によってホルモンバランスが影響されることにより様々な副作用の起こる可能性が出てきます。
これはホルモンに作用する薬剤の宿命でもあります。眠気などの副作用は比較的出にくく、報告が一番多いものは消化器系の症状です。吐き気、便秘が主な症状です。
次に頭痛、めまい、ふらつきなどの神経症状です。これらはカバサールの服用が直接的な原因になっているかは判断しにくく、ひどい症状が出なければ様子をみても大丈夫です。
また、発疹やかゆみなどの過敏症状が現れる場合があります。過敏症状が出た場合はただちに服用をやめ、医師の診察を受けなければなりません。
さらに、副作用を助長するのでカバサールの服用ができない疾患もあります。妊娠、また妊娠の疑いのある人、妊娠中毒症の人、肝機能障害、消化性潰瘍、低血圧症や心臓病などの既往歴がある人も必ず医師に相談してください。
麦角製剤にアレルギーのある人は過敏症状が出る危険性が極めて高いので使用できません。カバサールは上手に管理して使えば不妊に対して大変効果の高い薬です。
カバーサルを服用している人の年代別割合は?
不妊を治療する目的でカバサールを服用している人の大半は、高プロラクチン血症の診断をされた人です。
高プロラクチン血症は、生殖機能が成熟する20代から30代の成人女性に多く見られる症状です。ですからカバサールを服用しているのは、それらの女性がほとんどです。
高プロラクチン血症とは、妊娠中、授乳期以外でプロラクチンが異常に分泌され、血中の濃度が高くなった状態です。近年、高プロラクチン血症を患う人が増えているのにはいくつか原因があります。
まず、女性の社会進出によるストレスの増加です。プロラクチンなどのホルモンはストレスの影響を大きく受けます。
忙しさのあまり気がつくといつの間にか無月経になっていた、というケースも増えています。また、食生活の変化もあげられます。ファストフード、缶詰などはホルモンバランスを乱す化学物質を含んでいます。
これらが必ずプロラクチンの値を上げるわけではありませんが、こういったアンバランスな食習慣が体にとっていいわけがありません。
また、生活習慣の乱れから生活習慣病を患い、その治療薬が影響している場合もあります。高プロラクチン血症の治療、そして不妊の治療には多角的なアプローチが重要です。